漫画を描き始めたときに多くの人は『キャラクター』か、『設定』か、『世界観』から作り始めると思います。
ぼくはなんとなく世界観から考えるにゃ
私は綿密に設定を考えます
俺は絵を描きながら熱いキャラを作るぜ
もちろんそれも漫画の基本的な描き方です
しかし漫画は『ここから作る』という決まりは何もありません。
特に『読切』漫画制作の場合、上記の3つで考え始めるとページ数が足りず描きたいことを描けずに困ることが多くあります。
読切の場合は上記の『要素』(設定、世界観、キャラクター)からはじめるのではなく、こちらから考えた方が良い時もあります。その『要素』は、
『山場』、『状況』、『感情』です。
詳しく解説します。
・読切漫画を描き始めるのに適した『要素』
こちらは1発屋漫画家が考える、大ヒット漫画の描き方記事です。
『連載』漫画と『読切』漫画は何が違う?
『連載』漫画で始めに考えることは、最初に上げた『設定』、『世界観』、『キャラクター』が一般的です。
なぜなら、『連載』は長く続けることができるようにある程度の自由度が必要だからです。
『設定』、『世界観』、『キャラクター』はある程度なら連載後でも広くできます。
では『読切』はどうでしょうか?
『読切』の場合はページ数が限られています。そのページ数で完結させなくてはいけません。
そのため自由度の高い設定などを作っても、思いついたことを全て詰め込んで描ききることはとても難しくなります。
『連載』と『読切』の大きな違いは『ページ数』と『ストーリーの完結』です。
なので『連載』と『読切』は条件や描き方が違います
読み切りを描くのに適した『要素』
ぼくは読切の場合は別の『要素』から漫画を考え始めることが多いです。それはこちらです。
- 山場
- 状況
- 感情
一つずつ説明していきます。
山場
山場とはクライマックスとも言いかえられます。
山場から逆算して考えると、必ず描かなくてはいけない部分が見えてきて構成力が上がりストーリーもまとまりが出ます。
具体例
山場➡人々を支配する魔王を主人公が倒す。
この場合、どうしたら山場で魔王を倒すと盛り上げられるか考えていき、ページに収まるように必要なことを書きだします。
・魔王はどのくらい強いのか?
・魔王はどんな悪いことをして人々を苦しめているのか?
・主人公はどんな思いなのか
・主人公と魔王の力はどのくらい差があるのか
描くべきことが見えてくるとページ配分も決まってきます
状況
絶望的な状況、ありえない幸運などから考え始めることも一つの方法です。
漫画は極端なことを考える必要があります。
キャラクターから作り始めると無理な展開が中々作れません。状況から考えると思いつかないようなことも閃きストーリーに驚きを作れます。
読切は最終的にキャラクターや設定をぶち壊しても構いません。
具体例
状況例1➡猛毒を飲んでしまい、5分後に確実に死ぬ。➡読切ならそのまま死亡しても構わない。
状況例2➡自分以外みんな裸の世界になってしまった。
ぼくの代表作『みかにハラスメント』は『状況例2』から作りました
感情
最初にどんな感情を持った人が最後はどんな感情になるか。や、どんな感情を描きたいか?から始めることも一つの方法です。
具体例
感情➡友達のいない暗い少年に友達が出来て最高の笑顔になる。
連載はキャラの感情が全て解決。というのは最終回です。しかし読切ならマイナスの感情が全てプラスになって終わっても構いません。
読切はどう描くべき?
すでに連載経験のある漫画家さんには当てはまらないことかもしれませんが、新人さんの『読切』は編集者や読者にアピールする必要があります。
連載には向かない一度限りの極端な設定を考えて描いてみることも大切なことでしょう。
読切はページ数に限りがあるので描きたいシーンから考えて、そのシーンを盛り上げるために何ができるか考えながら話を作ったほうが良いでしょう。
範囲を狭くしたり、短縮できることはカットして描きたい1シーンを中心に考えましょう
『読切』は連載を意識せず『読切』として描いたほうが良い理由
読切漫画の何%かがその読切が人気があれば、そのまま連載できるような自由度がある設定で描いていることがあります。
しかしそういった元から連載を意識した読切漫画は、キャラ紹介や設定紹介に意識が向きがちになることが多いです。
そのような状態では読切としての面白さが減り、薄口の漫画になってしまう場合があります。
『読切』であると意識すれば一度限りの無茶なことが出来て、面白い漫画になる事が多いです。
連載を見越した『漫画賞』じゃない限りは、連載を意識しないで描いたほうが良い結果が出ると思います。
人気があればその読切を少し手直しして連載にすることもできますし、新しい作品で連載のチャンスをもらえることもあります。
それでも連載を見越して読切を描く場合は、キャラ紹介は最低限にとどめてストーリーを意識し追求するほうが良いでしょう。
連載を意識してしまうと、このキャラは『こんなことしない』みたいなブレーキをかけてしまい、結果面白さが半減してしまうこともあります。
読切に必要がないキャラは今後重要だと思っていても一旦切り捨てましょう。
ぼくも『読切』を意識して描いた漫画が連載になりました
読み切りばかり考える必要はない
ここまで評価される読み切りの描き方を提案してきましたが、ちゃぶ台返しになりますが、読み切りばかり描いていても意味がありません。
出版社はもちろんのこと、漫画家がやりたいのは連載です。最近では読み切りで試さず、連載向きのネームが面白ければいきなり連載ということが増えてきています。
人によっては読み切りが苦手な場合があります。そんな人は連載ネームを描いてみるのもありでしょう
『読切(投稿)』に適した漫画の描き方は?『連載』漫画作りと何が違う?まとめ
- 山場
- 状況
- 感情
何度も書きますが、読切はページが限られています。
あまり詰め込みすぎても読者は付いていけなくなってしまいます。描きたい1シーンを意識しましょう。
読切は『山場』、『状況』、『感情』から作ると、わかりやすくスッキリすることがあるので、取り入れてみてください。
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少し扱いにくいネタを利用して個性を出しましょう。