1発屋マンガ家が考える、大ヒット漫画の描き方のコツ

1発屋マンガ家が考える、大ヒット漫画の描き方のコツ

ぼく漫画家水兵ききは2005年にスクウェア・エニックスさんから出版させていただいた漫画『みかにハラスメント』が評判になり、累計約8,5万部の単行本を発行していただきました。一時期はアマゾンで1位にもなり、アニメ化の話まで担当さんから聞いていました。(アニメ化はお流れになりました)

漫画家を目指す人ならデビューした後は、

『多くの人に読んでほしい!』

『たくさん売れて欲しい!』

『漫画で一発当てたい!』


と多くの方が考えるかと思います。ぼくもそうでした。幸運なことにぼくはその夢を掴みました。

評判になる漫画を描けた要因を自分なりに分析すると、それは

『自分の中にある個性を生かした漫画』

を描くことが出来たから。ということだと思っています。

それではぼくの当時を振り返って一発当てるコツを考えていきたいと思います。

何かしらみなさんのヒントになってヒット作に繋がれば幸いです。


『みかにハラスメント』発表後についてはこちらの記事からも

経歴

当時のぼくの簡単な経歴はこちらです。

2003年スクウェア・エニックス『ガンガンパワード』でデビュー。新人漫画家として読み切りを掲載させていただいていて連載を目指していました。

当時の状況

当時はまだ20代半ばでしたが、その時に描いていた漫画「魔法少女るかなー」を描き上げたら、漫画家を目指すのを辞めようと思っていました。

当時は20代半ばまでにデビューしないと出版社に相手にされないと言われている時代でした。

描いていた状況としては貯金を切り崩しながら、一人暮らしの家に2か月の間ほぼ家に閉じこもりきりで漫画に集中していました。

絵もうまいとは言えず話の作り方もわからず、好きで描いているだけのただの漫画家志望者でした。

完成した『るかなー』を漫画賞に投稿したあと、実家に帰り就職活動をしていました。

2か月後、幸運にも投稿作『魔法少女るかなー』で漫画賞の最終候補に入り、はじめての担当さんが付きました。

ぼくが今思うことは、最後と思いながら、それでも自分が好きなものを一心不乱に描いたことが作品に伝染し、編集者の目に留まったのかもしれません。

『こういう漫画が読者に受けるかも』と考えながら描いていたらぼくの個性にブレーキをかけることになり、編集者の目に留まる作品にはならなかったような気がします。


『るかなー』でデビュー後も『やめよう』という気持ちは続いていて、『次のチャンスで掲載できなかったらやめる』
『担当さんから連絡が来なかったらやめる』
と本気で思いながら過ごしていました。

ぼくの場合は最後だから全力で頑張る!と熱くはならずチカラは抜けていた気がします。この時『片足』は常に『やめる』に入っていました。

このチカラが抜けた状態、『やめる』がリアルだったおかげで、デビュー後も『こういう漫画を描けば連載できるかも』という考えにならず、自分の好きなもの『自分の中にある個性を生かした漫画』を追い続けることになったのかもしれません。

個性を生かした漫画とは

ここでは『自分の中の個性を生かした漫画』について考えて行こうと思います。

ここで言う『個性を生かした漫画』とは自身が日頃感じる強い『興味』『ストレス』取り込んだ漫画のことです。

どういうことかというと、アダルトな話で申し訳ないですが、ぼくは成人向け漫画をよく読んでいました。(興味)しかし、作中でいざ本番になるとどうも気持ちが冷めていました。(ストレス)

ぼくが好きだったのは本番に入る前でした。成人向けの漫画なのに変わった読み方だと思います。つまりこれがぼくの『個性』です。

この個性を生かし、強調して、少年誌に落とし込んだものがヒット作になりました。

日頃考えている『興味』と『ストレス』は人それぞれです。漫画ではよく『自分にしか描けないものを描いて欲しい』と言われます。

こういった自分の『個性』を見つけて漫画にしてみてください。

当時の具体的な行動や事象

Amazonで1位になった「みかにハラスメント」は具体的にどうやって描かれたか細かなことを書かせていただきます。

〇デビューした雑誌は少年誌でしたが、『 みかにハラスメント 』の主人公は女の子でした。

本来なら少年漫画の主人公は男の子のほうが感情移入がしやすいために男の子にすることが圧倒的に多いですが、ぼくの場合女の子を主人公にしても特に違和感がありませんでした。常識に捕らわれず柔軟でした。

〇下描きをしている時、200回くらい読み直して気になるところがあれば満足するまで微調整していました。
時には表情を何度も変え、時には描き上げた絵の構図が気に入らず別の構図で書き直したり。

200回くらい読み直しと書きましたが、これは大げさな数字ではなく文字通り200回くらい下描きを往復して読み心地を確認していました。

〇当時1番参考にしていた漫画はガンガンで今も連載されている『 流されて藍蘭島』でした。こちらも何百回も読みとても影響を受けた漫画でした。お手本になる漫画が手元にあるのはとても参考になりました。

〇下描き作業に入ったあとは毎朝食後、バイクで少し離れたコンビニへ行きお菓子を買ってリラックスしていました。
家にいるとどうしてもずっと漫画のことを考えてしまうので、息抜きになりました。

〇そして特に覚えているのが、みかにハラスメント第1話を描いている時に『足から毒素』が出ていたのか、机に座っているだけなのに何足も靴下に穴が空いていました。

おそらく漫画を描いている時に尋常ではない集中力が極度のストレスになり、足から毒素が出ていたのかと思っています。こんなことは後にも先にもこの時期だけでした。

常識を担保してくれる人物が必要

言葉で言い表すのは難しいですが、この『みかにハラスメント』は本当におかしな漫画でした。

『主人公のみかの願いが思いとは反する形で叶い、女の子が全員裸になる。その世界の中でみかが恥ずかしい目に合い続ける』

という話で、これを好き勝手描いてしまったら、いくら『自分の中の個性を生かした漫画』が描けたとしても読者が理解出来る漫画にはならなかったかもしれません。

やはり常識を担保する第三者の目が必要で、担当さんが意見を言ってくれたおかげで多くの人に受け入れられる作品になったと思います。

コツまとめ

ぼくの考えるヒット漫画の描き方まとめです。

  1. 家に閉じこもって漫画だけに集中できる環境を作って描いた。
  2. 『やめる』と思いながら描いた(全員にそういう覚悟をもってほしいわけではないのでご注意ください)
  3. 周りの漫画を意識することなく、自分が楽しいと思うものを描いた。
  4. 自分の『興味』と『ストレス』を漫画に取り込んだ
  5. 少年誌に捕らわれず、柔軟に対応した(女の子を主人公にした)
  6. 常識を担保する人物がいた。

結果、『自分の中にある個性を生かした漫画』を描くことができヒットに繋がりました。

当時は20代半ばまでにデビューしないと出版社に相手にされないと言われていました。なのでぼくは『やめる』という意識がリアルでした。

出版社が必ずしも必要なくなった今では、そこまで自分を追い込むことは難しいし全員に重要であるとは思いません。

分析し尽くして面白い漫画を描く人もいますが、自分の『興味』や『ストレス』に向き合い『自分の中の個性を生かした漫画』を描いてみましょう。


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