人に見せる漫画の『ネーム』はどこまで描いたらいいか、漫画を描く人なら悩むことがあるでしょう。
※ネームとは下描きの前段階のラフな設計図のことです。これを元に下描きをします。
簡単な絵でいいにゃ?
表情も描かないとダメでしょうか?
編集の人にネームを見せる時は、下描きくらい描きこまないとダメなのか?
この答えは立場や状況、関係により違います
この記事ではネームを描く時の注意点や描き込み具合について解説して行きます。
・ ネームを描く時の注意点や描き込み具合
漫画制作の一連の手順はこちらから。それぞれの失敗を避けるコツも。
ネームの描き込みは立場や関係によって違う?
ネームの描き込みは立場や関係によって違います。
詳しく説明するとプロの場合は長い間、同じ編集さんとのやり取りが出来ていてもし簡素なネームだとしても編集者側に読み解く能力が長い付き合いの間に培われているから大丈夫です。
まだデビュー前の人は誰かにネームを見せる場合、簡素なネームでは理解してもらえないのでやらないようにしましょう。
せっかく面白い漫画でも理解されなければ評価の対象にもなりません。
それはもったいないですね
長い付き合いのある編集者さんにならこんなネームで大丈夫。
ではデビュー前や、初めての編集者さんにはどんなネームが良いでしょうか?画像を用いて具体的な例をあげていきます。
ネームはここまで描き込もう
なにも服装や指先、全ての背景まできっちりと描く必要はありません。
最低限必要はものは、こちらの5つです。
- 場所
- 表情とポーズ
- 構図
- 丁寧な文字
- キャラの描き分け
- +キャラクターデザイン
それぞれ解説していきます
具体的には最低限このくらいは描きましょう。
1場所
1ページ目には簡単でいいので背景を入れましょう。
ネームの時は文字で書いてしまっても構いません。
背景を明確にすることでどんな世界の漫画なのかおおよそ限定できます。
たしかに、場所がわからないと困りますね
2表情とポーズ
盛り上がりの無い場所以外は表情やポーズを入れましょう。
表情とポーズがしっかりしていればキャラの性格も掴みやすくなります。
ただ無表情で立っているだけのキャラが話しているだけでは性格や面白さが伝わってきません。
ネームだから適当に描いたにゃ!下描きではちゃんと考えて描くつもりだったにゃ
実力もわからないデビュー前に、それでは困ります
3構図
ネームの時に構図を考えないのはよくありません。
キャラが何をしてるかわかればいいと思いがちですが、構図は漫画を構成する上でリズムを作り、読者の理解を深めるとても重要なものです。
ネームの時でもカメラアングルは考えてください。
構図ってそんなに大切なんだな!
4丁寧な文字
セリフはできればフォントを使用したほうが良いでしょう。
それが出来ないなら丁寧に書いてください。
セリフを読むのに引っかかってしまうと、せっかくのスピード感や間が失われてしまいます。
文字が汚いのは論外
5キャラの描き分け
キャラを簡単に描いてしまうと誰が喋っているのかわからなくなります。
描き分けに注意してください。自分で思っているほど他人は見分けるのが難しいです。
デビュー前の方は以上のポイントに注意してください
6 +キャラクターデザイン
服を描かない場合はキャラクターデザインをしたものも用意した方が良いでしょう。
ネームに不要なものは?
ここまではネームに最低限必要なものをお伝えしましたが、逆にネームに『いらないもの』から考えるとそれはこちらの要素です。
- 導入以外の背景
- 細かい服装
- 丁寧なデッサン
・場所が変わったときは簡単でいいので背景や文字で説明しましょう。
・服装は最初だけはどんな服かわかるように描いておけば大丈夫です。
・プロの漫画家にはネームと下描きを兼ねている場合があります。そういう使い方をしない場合は丁寧なデッサンは不要です。
ネームに不要なものから考えるのもわかりやすいですね
タイプ別のネームの描き方のコツ
ネームの描き方は2つのタイプの人がいます。あなたはどちらに当てはまりますか?
- プロットの時に『絵のイメージやストーリーがしっかりできていて』ネームに取り掛かるタイプ
- 『ネームを描きながら』絵のイメージやストーリーを固めていくタイプ
1 プロットの時に『絵のイメージやストーリーがしっかりできていて』ネームに取り掛かるタイプ
ネームを描く前のプロットでしっかり絵のイメージやストーリー構成が出来ているタイプの方は、絵のイメージをラフでも良いので残しておくのが良いでしょう。
せっかく絵のイメージをしても忘れてしまっては元も子もありません。
ぼくは最初のイメージを忘れてしまって、描けなくなることがあるにゃ
2 『ネームを描きながら』絵のイメージやストーリーを固めていくタイプ
大まかにプロットを描き、ネームの時に絵を入れながら細かいところを決めていくタイプです。
一度のネームで完成させられなくても、ネームを何周も書き直して整理して完成させるようにしましょう。
ぼくは2のタイプです。ネームを描いていると、その時に描いた表情でストーリーが変わることがあります。
そのためネームは3周くらいしないと納得のいく仕上がりになりません。
ネームの注意点
ネームは最低限の情報を入れればラフに描いて構いません。
しかし導入ページだけは状況がちゃんとわかるように描いてください。
ラフに描いたからわかりにくい。では、読み手を混乱させてしまいその後の話がとても読みづらくなり、あなたの漫画の評価は下がります。
ネ、ネームだから適当に描いたにゃあ!下描きではちゃんと丁寧に描くつもりだったにゃ !!
それはダメなんです。人に見せるならデビュー前は最低限のことはするようにしましょう
最近の傾向
最近はネームを下描きくらい丁寧に描く人が増えてきました。丁寧な方が完成原稿と差がなくなり正確にネームを読み解けるので編集者に好まれると思います。
デビュー前の人はなるべく描き込んで完成をイメージできるネームが良いかもしれません。
『ネーム』だけでも募集している漫画賞
最近ではネームだけでも応募できる漫画賞も増えてきました。※締め切りも確認してください。
こちらは一例です。
集英社
ジャンププラスネーム原作漫画賞
講談社
ネーム原作賞
スクウェア・エニックス
スクウェア・エニックスマンガ大賞・ネーム部
漫画業界ネーム事情
最近の漫画業界では、面白い『ネーム』を描けるとそれだけでもお声がかかりお仕事に繋がることがあります。それほどまでに面白いネームを描くというのは難しいことであり、大切なことなのです。
しかし不思議なのが、そのようにして『ネームのみ』を描いたとしても中々名前を発表しない現状です。
つまり漫画の表紙にこのような記載が欲しい所です。
原作○○ ネーム○○ 作画○○
そのうちこのような表記になると思いますが、それはまだ先・・・?もしかしたらすでにある?
漫画のネームはどこまで描きこんだらいい?まとめ
デビュー前のネームの最低限必要な要素
- 場所
- 表情とポーズ
- 構図
- 丁寧な文字
- キャラの描き分け
ネームは必要最低限の要素だけ描いて時間削減に努めると良いでしょう。
ぼくはやったことはありませんが、デビューしていて連載されている作品ならキャラも分かるのでセリフだけのネームも編集者との信頼と、それまでの実績があれば大丈夫でしょう。
デビュー前の人は導入や表情、ポーズなど丁寧さを求められるところは丁寧に描き、不要なところは手間をかけないで描きましょう。
描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方(週刊少年ジャンプ編集部)
こちらはぼくのココナラのプランです
あなたの漫画を読んで感想やアドバイスをお伝えします
当ブログはリツイート、共有、リンク歓迎です。
誤字、脱字などあればお問い合わせからご指摘いただけると幸いです。
漫画についての質問も。