漫画家が単行本を1冊出すと、出版社からどのくらいのお金がもらえるか知りたい人も多いと思います。
お金の事知りたいにゃ
生活できるだけのお金をもらえるのか気になります
漫画家になってお金持ちになりたいぜ!
ぼくの原稿料と初単行本の金額を明細書付きで公開します
結論から最初に書くと、ぼくが1冊の単行本発売までに出版社から頂いた原稿料と印税の合計は
約164万円 でした。
その原稿料や印税の明細書を公開して解説していきます。
後半では、単行本が売り切れたら起こる『重版』について、こちらも明細書付きで紹介します。
重版はまさに漫画家の夢。1冊の単行本が3年後まで重版を繰り返してもらえた印税の詳細も解説します。
・漫画家が単行本1冊出してもらえる原稿料と印税
・漫画家がもらえる漫画原稿料と単行本印税以外のお金
・単行本が売切れると起こる重版について
※これは2003年スクウェアエニックスの『ガンガンパワード』という季刊誌で掲載された漫画『みかにハラスメント』が、単行本化された時の金額です。
漫画家がもらえるリアルな金額を知って、プロになった時の生活ビジョンの参考にしてください。
漫画家がもらえるお金って何?
漫画家が出版社からもらえるお金は主に 漫画の原稿料と単行本の印税 です。
原稿料
漫画1ページごとに発生します。
原稿料は作家それぞれで異なります。
ぼくはこの頃は新人で1ページ7000円でした。
単行本の印税
・紙の単行本の印税・・・単行本の金額のおおよそ10%を発行部数分(印刷した分)もらえます。(※書店で売れなくても発行部数分もらえます)
・デジタル単行本の印税・・・価格の20%~25%をDL数分もらえます。
パーセントは契約によりますが、おおよそ上記の金額です
その他にも雑誌の『巻末コメント』でもお金をもらえます。
原稿料詳細
まずは『原稿料』を見ていきましょう。
下記は単行本『みかにハラスメント』に収録された作品とその原稿料です。
- みかにハラスメント第1話(36P) 239,400円
- みかにハラスメント第2話(36P) 239,400円
- みかにハラスメント第3話(42P) 277,830円
- かすみ♂(40P) 266,000円
- 魔法少女るかなー(26P) 174,800円
原稿料は全て1P7000円でした。
ページ数は合計180Pです
ここまで原稿料の合計1,197,430円(※消費税や源泉徴収税を計算しています。)
こちらは『魔法少女るかなー』の明細書です。
源泉徴収で引かれたり、消費税を足されたりしていますね
このように漫画家の原稿料は1ページ辺りの原稿料で計算されます。
『パワーフルボイス』が雑誌巻末コメントです。
出版社は原稿を買う側なので消費税を漫画家に払っています。
その他にも出版社は国に納める『源泉徴収税』10%差し引いて振り込みをしています。
印税詳細
続いて単行本の『印税』です。
こちらが単行本印税の明細書です
印税は単行本価格の10%です。
画像が見にくいですが、単行本『みかにハラスメント』の初版は12,002部でした。印税は一冊39円です。
こちらも消費税、源泉徴収税を計算すると
444,675円
原稿料と合計すると
1,647,105円
になります。
印税の合計は発行部数で決まるんだな
紙の単行本は発行部数で印税が決まります。
単行本が売れなくても発行部数分もらえます
デジタルは販売数(ダウンロード数)で決まります。
デジタルの印税は20~25%辺りが大手出版社の基本です。
デジタルの印税は売れた分だけ!でもデジタルの方が印税がかなり高い!
この金額で生活できる?
人によって描けるスピードは違いますが、仮に1人で月に30P描いたとして単行本分180P描くのに半年かかります。
つまり年に2冊単行本を出せるとしたら金額は上記の2倍、328万円ほどになります。
これだとアシスタント代を差し引いたりすると厳しいと思う人がいるかもしれませんが、漫画家の収入はこれだけでは終わりません。
例をあげるとこちらになります。
- 単行本のデジタル配信
- 単行本が重版
- 原稿料が上がることも
- 発行部数増加
- メディアミックス
- 同人誌
- ファンサイト
- クラウドファンディング
最近は商業誌で描きながら、他でも活動する人が増えてますね
このほかにも漫画には『重版』があります。次は重版のお話をします
原稿料のアップ方法についてはこちらの記事も。原稿料をアップできるタイミングは限られています。
そのチャンスを逃さないように予習しておいてください。
単行本が売りきれると起こる『重版』ってなに?
重版とは、同じ本を再出版することです。
※正確には売り切れなてくも売り切れの見込みがあったり、予約段階で予想を上回る予約が殺到すると重版になることがあります。
出版されるごとに再び『印税』が入ってくるので漫画家にとって嬉しいことです。もちろん出版社も利益が膨らみ双方にとって良いことです。
ぼくもありがたいことに『重版』の恩恵を受けました
筆者が受けた『重版』の恩恵
初単行本『みかにハラスメント』が話題になり初版12000部が即完売し、『重版』がかかりました。
下記は3か月に一度届いた『みかにハラスメント』の実際の明細書です。
05年1~3月の明細。発売は3月で、初版は12002部でした。
05年4~6月 24500部『重版』
05年7~9月 12000部『重版』
2005年10~12月 9000部『重版』
2006年1~3月 12000部『重版』
2006年4~6月 8500部『重版』
※2006年7月~明細書紛失
↓こちらは2007年10月 2000部『重版』
2008年7月 2000部『重版』
合計85,002部
ありがたいことに1冊しか出ていない漫画なのに3年後まで繰り返し重版がかかっています。
重版のおかげで『印税』を合計すると
85002部×39円=3.315.078円
消費税を足して、源泉徴収を引くと印税の合計は
約300万円 程になりました。
『みかにハラスメント』が重版の嵐になった時の詳細はこちら。漫画家って夢があると思っていただけると思います。
【明細書】漫画単行本を1冊出すともらえる金額は?原稿料と印税【重版も】まとめ
印税の合計は発行部数によって変わります。
新人はよほどのことが無い限り、現在の時代背景だと初版は1万部未満です。
『重版』にならないともらえるのは『原稿料+初版印税』+デジタルは配信の印税。ということになります。
ちなみに単行本の表紙、裏表紙、オマケ漫画などは金銭は1円も発生しません。
発生してほしいなと思いますが、これは漫画業界の常識になっているようです。
途中でも触れましたが、商業誌の他にも活動すると安定しやすいかと思います
追記。2024年10月にテレビで見た情報ですが、雑誌は『寄稿』で単行本は『作家個人が出す本』という扱いのため原稿料の考え方が違うそうです。
出版社を通さないで漫画でお金を稼ぐ方法はこちらから。
お金に関する記事はこちらも。
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