出版社で漫画を描かせてもらう場合、漫画家は必ず編集者と一緒に漫画を作っていきます。
いわゆる『担当さん』です。
その『担当さん』が漫画家にとってどういう存在であるか、漫画家を目指す人は興味があると思います。
編集者さんってどんな話するにゃ?怖そうにゃ
編集者は新人には中々OKを出してくれないと聞きます
相性が悪くてイヤだという話もよく聞くぜ
デビュー前から単行本発売までの担当さんとのやり取りを解説します
担当さんとの関係でよくある疑問も後半で触れておきます。
・担当さんの考え方がわかり、より良い関係を築けます。
・担当編集者のよくある疑問の答え
出版社で漫画を描く上で担当さんとの関係は良好な方がもちろん良いです。
担当の考えを知っておくとスムーズに関係を作れます。
漫画の担当さんってどんな存在?
担当編集者さんは商業誌で漫画を描く上で切っても切り離せない存在です。
出版社への窓口であり、最初に漫画家の作品を見てくれる人です。
そして作品を良くするためにアドバイスをしてくれます。
一人では思いつかないことも二人の意見を出すことで、新しいアイデアが生まれやすくなります。
時に友人以上の仲間であり、共に同じ目標を目指す戦友であり、意見を交わすライバルであるのが担当です。
商業誌で描くなら担当と考えるのが当たり前なんだな!
新人漫画家が単行本を出すまでの担当の仕事
ぼくと担当さんのやり取りを紹介し解説します
ぼくに担当がついたのは、スクウェア・エニックスの漫画賞で作品が最終候補に残った時に担当が付きました。
その後、挨拶をしたいとのことで出版社へ行き、初めて顔を合わせました。
その時に次の作品の打ち合わせをはじめました。
後日ネームを描き、メールに添付し提出。その後は電話での打ち合わせが続きました。
一回の打ち合わせの時間は1時間〜2時間ほど。
担当さんの考えやぼくの意見を出し合い修正を重ねました。
担当さんの意見で、ぼくがわからないことは丁寧に理由を説明してくれたのが印象的でした。
お互いこの世に無い漫画を作りあげる上で『理解しながら進む』
というのは必ず必要なことだと思います。
人によると思いますが、ぼくは周りを気にせず集中できる『電話』が1番打ち合わせをしやすかったです。メモも取りやすい
話し合いで考えがまとまらない場合は世間話もします。
その中からヒントが生まれることもあります。
そして何度かネームを直して行くうちに、ある疑問が。
・・・あれ?これって担当さんのOK出るまでずっと直すの?
答えはイエスです
ぼくの時はしばらくしてOKが出ました。
この時出来たネームは自分だけでは到底作れない完成度の高い漫画になりました。
先に答えを書くとこの作品は雑誌に掲載され、読者アンケート2位になりました。
編集長に見せることになり、それも少しの修正だけでOKが出ました。
OKが出た読み切り漫画の作画に入りました。ここからは担当さんはノータッチです。
下描きのチェックは無いんですね。初めて知りました
はい。たまに進行具合を聞いてくるだけです。気になる時は見せてもOKです
そして無事に原稿提出&掲載。
この時の作品はガンガンパワードに掲載されました
新人漫画家としてはこの読み切り掲載後に担当さんから連絡があるのか無いのかが気になるところです。
しかし読み切りが人気が無かったとしても連絡をするのが担当の仕事です。
人気が無ければ無かったと伝えなければいけません。
ぼくもしばらくしてから連絡をいただきました。
そしてありがたいことに読み切り作の評判がよく、次の漫画制作の話にもなりました。
もし評判が良くなくても打ち合わせをしてネームを見てもらうことができます。
単行本発売の話
ぼくは漫画『みかにハラスメント』の3話目を描いているときに、単行本になるよ!と担当さんから電話をいただきました。
単行本で必要なものは表紙、裏表紙、背表紙、本文の目次、あとがきなどです。
特にこだわってほしいのが表紙とのことでした。
表紙は売上を左右するからな!
しかし描いた表紙のラフに対しての直しについては担当の指摘は遠慮がちでした。
というのも単行本制作(表紙など)には一切原稿料が発生しないので、その結果遠慮がちになると思われます。
こうして担当さんと二人三脚で出来た漫画『みかにハラスメント』はアマゾンで1位になりました。
一人では辿り着けなかったのは間違いありません
デビュー前から単行本発売までのやり取りは以上です。
読んでわかる通り、読み切りのネームのOKをもらうまでがとても大変です。
しかし連載が始まると締切もあるので打ち合わせもスムーズになります。
担当の疑問
ここからは一般的な『担当』の疑問を取り上げて解説していきます。
- なぜ打ち合わせで担当と意見が合わないのか?
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編集者は会社のために、より多くの読者を取り込む努力をします。
そのため狙っている読者に差が生まれ、意見が合わないことが多いかもしれません。
連載の厳しさを見て知っている担当さんに歩み寄ることも、自分の可能性を広げるために時には必要かもしれません。あおにゃんビジネスなので多くの読者を取り込む意識をしているんですね
- 担当はなぜ連絡が遅いのか?
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漫画の編集者の仕事は漫画家とのやりとりだけではありません。
複数の漫画家の担当でもありますし、印刷所で広告コピーや表紙デザインを考えたり写植を打ちます。
それでもしばらく待っても連絡が来ないならこちらから電話してみましょう。あかにゃんいろんなことをしてるにゃ。もう少し待ったほうがいいかもにゃ
- なぜ担当は漫画の内容を短くしたり、引き伸ばしたりするのか?
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ページを短くすると漫画家に支払う原稿料が減り、雑誌掲載の確率も上がります。
内容を引き伸ばす場合は漫画家には伝えずに単行本のページ数を調整していることもあります。きいにゃん特に言う必要のない事情があるんだな
- 担当が何を言ってるかわからない
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漫画は見る人によって意見が大きく変わります。
最大手の漫画雑誌ジャンプで鳴り物入りで連載が始まっても10回で終わることがあるのが漫画です。
我慢できないなら別の出版社に持ち込みをしましょう。それは自由です。すいへい一か所にこだわっても意味が無いかもしれません
- どうしたら担当になってもらえる?
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それは編集者それぞれ意見があるのでわかりません。
編集者にアピールする方法はこちらの記事も
編集者は漫画のどこを評価する?あなたはこの漫画家の才能を見抜けますか?
担当が付き、デビューしたものの連載をもらえない新人漫画家は多くいます。
なぜ連載をもらうのは難しいのか?どうしたら連載させてもらえるのか?について書いた記事はこちらから。
担当編者の考えがわかる本
ドラゴンボールの担当で知られる鳥嶋和彦さんが2023年に出した『Dr.マシリト最強漫画術』には編集者の考えがたくさん書かれています。こちらの記事もどうぞ。
【マシリト流】長期連載漫画の作り方もわかる珍しい一冊【読者の視点で】
【担当編集者とのやりとり】漫画家デビューから単行本発売まで【どんな存在?】まとめ
新人さんは担当さんと中々うまく行かないことがあると思います。
しかし担当は漫画を良くするために意見を言っているのです。
担当という存在は自分一人では思いつかない面白い漫画をこの世に発表するために必要な、漫画家にとってなくてはならないパートナーです。
それでもあまりに気が合わない場合は別の出版社に持ち込みもしてみましょう。
こちらは付き合いの長い編集との間で起こる問題についてです。