この記事はぼく水兵ききが『原作付き』で漫画を描いた時の漫画業界面白エピソードです。
漫画の原作付きってよく見ることなのに、面白いエピソードなのにゃ?
うん、よくある!
ぼくの場合はアマチュアの友人が原作者でした
え?アマチュア???
先に結果を描くと、残念ながら完成した2作の漫画はチグハグしていて人気もあまり無い漫画でした。原作付きに至った経緯から問題点などを解説していき、それでも得たものがあったのでそれも書かせていただきます。
ぼくが体験した驚愕の漫画家エピソード集はこちら。
原作付き経緯
ぼくの初単行本作品『みかにハラスメント』が人気があったおかげで漫画終了後、多くの出版社からオファーを頂きました。
しかし上記作品後、人気のある作品が作れず悩んでいました。そこで気分を変えるために、漫画専門学校で知り合った友人に『出版社がOKなら原作をしてみないか?』と相談してみました。
すると快く了解してくれました。
次は担当編集さんに相談です。
友人は了解してくれたものの、プロでもない漫画家志望の作品を見てくれるのか?しかもそれを雑誌に掲載して貰えるのか相談しました。
すると、意外にもあっさり了解頂きました。
読み切りだったので、OKだったのかもしれません
原作者はどんな経歴?
原作を頼んだのは漫画専門学校のクラスメートのTELさんでした。
TELさんが得意なのは『青春ギャグ漫画』で学校卒業後も付き合いがあり、在学中から面白い漫画を描くと思っていたので声を掛けてみました。
今は香川県で「高松ふたりのアニソンプロジェクト」で活動しています。ツイッターのアカウントはこちらです。@tel0822
どんな漫画?
TELさんとは2作品描かせていただきました。
1つめは2012年ドラゴンエイジ2月号掲載「ほしおじ」、
2つめはアーススター2012年12月号掲載「クズな勇者とマジメな騎士と」です。
あらすじは・・・
「ほしおじ」は異星人が地球の女性という生物に興味を持つ触手やらなにやら・・・なお話です。
「クズ勇者」は人間界を支配しにきた魔族がクズな勇者とバトルになり拘束やら服が溶けたり・・・なお話です。
ぼくでは思いつかないキャラクターの性格やセリフ回しで、ぼくのいつもの漫画とは一線を画しています。
こちらで読むことが出来ます。ご購入いただけると幸いです。
ほしおじ・クズ勇者
結果
掲載された読み切り2作の人気はあまり無かったと思われます。
人気があれば次の漫画の話しも出てきますし、その後しばらくして打診した『掲載した漫画を同人誌にしたい』
というお願いも二つ返事でOKされました。
問題点
では人気が無かった理由はどこにあったのでしょうか?ぼくが考える問題点は2つあります。
1、漫画のセクシー表現が水兵ききとTELでだいぶ違うこと。
ぼくの漫画の売りはちょっとえっちな少年漫画です。原作を書いてもらう時に少年誌風のえっちな部分を意識してもらい書いていただきました。
しかし出来上がった、えっちな部分に納得いかなかったぼくは、ぼく好みに修正させてもらいました。
これにより全体のバランスが崩れチグハグしてしまったように思います。
2、力関係に差があったこと。
ぼくはプロとして漫画を描いていて、かたやTELさんはアマチュアでした。TELさんが書いてくれた原作に修正案を出すと、ほとんど意見を聞いてくれて意見のぶつかり合いがありませんでした。
この意見のぶつけ合いが生まれない状態が良くなかったと思います。結局二人三脚のスタートラインから二人の足を結ぶ紐がほつれていた状態だったと言えます。
必要な準備
原作と作画が分かれる場合、事前に準備しておくべきことがあります。
- 『対等』という心の準備。
- ストーリーにあったエピソードを選ぶ準備。
- 面白い漫画を描くのが目的という心の準備。
ぼくはそれが出来ていませんでした。
得たものは?
原作と作画を分けて漫画を描くなら、事前にこのあと起こる問題を予想して心の準備が必要ということと、人のフェチは人のそれぞれ。水兵のフェチは水兵にしか描けない。ということがわかりました。
キャラクター同士の掛け合いが苦手なぼくですが、この漫画で少し掛け合いがわかった気がします。
お金の話
この時の「原作」の原稿料は、ぼくの原稿料の中から10%を渡しました。漫画の原作者は原稿料の10%が基本らしいです。実績のある原作者ですともっと多くなると思います。
※プロの原作者ですと実際には出版社から直接10%をもらえますが、この時はぼくの原稿料から支払っています。
プロ漫画家が『〇〇に原作を任せてみた』→結果がやばかったまとめ
週刊誌だと原作付きという漫画をよく見かけます。しかし、自分が原作と作画を分けてみてわかりましたが、パートナーとのやり取り、原作ネームの解釈、表現がとても難しいです。
もしかしたら、編集者が中に入りうまくまとめているのかもしれません。成功している原作、作画を分けた漫画はとても器用な人たちでないと務まらない気がします。
ぼくには『原作付き』は難しすぎでした
こちらの掛け持ち連載(W連載)エピソードもどうぞ。